図書館でこどもが見つけて読んであげましたが、はじめ「かたきうち」という内容が嫌でした。あと、鬼=悪役というイメージも。
けれども何度か読むうちに、いくつかのシーンが気になってきました。
ひとつはふきの、「とうちゃんの かたきは、おらひとりで うつ。おにを さがしてくれろ。(略)それだけでいい」という台詞です。「かたきをうつ」という純粋な(?)感情があるなら、それはその当事者一人だけにありうるのじゃないか、ということです。しかしその上で、この物語は相討ちという悲劇でその実行は否定しているように思えます。
いまひとつは、子への願いを「りっぱな よめいり」としてしか表現できない親の一途さ。そして悲しさ。私自身、そこを離れられないのです。
自然と人間の間にいると思われる「だいば山の大太郎」は、春がくるごとに人間そのものを悲しんで、愛おしくて、泣くのではないでしょうか。
我田引水ですが、そう思った時、この絵本が心をとらえました。