福音館創立50周年を記念して一般公募した中の採用作品です。
我が家では同じ採用作品の『おとのさま』の方が、断然好評だったので、あまり読んでいませんでしたが、久しぶりにまた読んでみました。
おとうさんとふうこの二人暮らし。亡くなったママの大好きだったばらの中にいた小鳥の世話をする二人の姿が描かれます。
亡くなったママへの思慕が見え隠れして、少ない文章の中にもしっとりとした感じが漂っています。
部屋の描写の中に、内容とは直接関係のないことがちょこちょこと描かれていますが、それがいいのです。
ママの写真の前に「ことしもきれいにさいたよ」という手紙が飾られていたり、端に置かれた段ボ−ルに「ふうこのなつふく」と書いてあったり、ホワイトボードに「クリーニングとりにいく」などのメモが書かれていたり、何気ない日常の生活くささが描かれていて、二人がしっかりと手を取り合って生きている様子が窺えます。
そんなところが心憎い作品です。