この絵本には、いくつもの「わたしをみて!」がかくれています。読み手から見る側に、どのページもそれがすぐ届くように仕立てられています。最初から最後まで、飽きることなく興味を持ち続けられる、そんな絵本でした。
1)列をつくってまで「わたしをみる」人々の顔
アッチ向いたりコッチ向いたり、ほらほらこっちむいて!
2)おふらんす風メガネのお嬢さんがガイドしますよ
ほらほら「わたしをみて!」こっちこっち
3)おはなしはこの絵の中の女の人「モナ・リザ」っていうの
世界で一番有名でね、それはね、わたしなの
ほらほら、おふらんすメガネじゃなくて「わたしをみて!」
4)でね、有名でしょわたし、だから盗まれちゃうわけ
ほらほら、この男にね、よく覚えておいてね、1911年の8月よ!
とまぁ、紙芝居の弁士よろしく、どんどん見る者のこころをつかんで放さず、最後のページまで息をもつかさず連れて行っちゃう。ルーシー・ナップさんの腕前といい、ジル画伯の奇抜で緻密な解説絵といい、見入る聴き入るってこういうことでしょう。ましてや美術絵画の奥の深さまで知らされて、もっと美術館へ足を運びたくなってしまう。岩崎書店の企画に脱帽です。
ひとつだけ、答えのでない「わたしをみて!」があります。それは、丸いかたちの花飾り文様。うーん、まいったなぁ・・感謝して悩むかぁ