「小さなよっつの雪だるま」 ママの声

この本に書かれているような出来事は、誰の周りにもあるような事で、それを絵本にして残しておこうと思う、そんな風に思える事が素敵だなと思いました。絵本の中の家族が、年月の経過と共に変化して描かれているのがいいですね。

鉛筆だけで描かれたような白黒の絵が、独特の雰囲気を作っていたと思います。
家族についての思い出を振り返っているのでしょう・・・
決して、楽しい思い出ばかりではありません。
それでも、忘れたくないものだと、伝わってきました。

『はせがわくんきらいや』の長谷川集平さんの作品。
上品な装丁にまずびっくりです。
長崎の小学生の女の子が主人公。
彼女の何気ない日常が描かれ、その成長とともにまた日常が積み重なります。
その思い出の中にそっと寄り添う雪景色、雪だるま。
父の死、学生生活、結婚、出産・・・。
それらも、淡々と積み重なる日常。
不思議な読後感です。
東日本大震災の後だけに、心に響きます。
『明日は月よう日』と同じ余韻が残りました。
鉛筆のデッサンによるものですが、その表現力に驚かされました。
どちらかというと大人の味わいだと思います。

ボランティア仲間のお母さんに「この本いいよ」と薦められて探してきました。
うちの子たちに読んでみました。
主人公はあっという間に大人になってしまって、意外とシュールな描き方だし、これって子ども向けの作品じゃなかったのかな？とさえ思ってしまいました。

タイトルと、それにまつわる思い出話はすごく味わい深くてよかったです。
ただ、この作品のコンセプトと、読者の対象年齢を考えると、ちょっとわからなくなってしまったので、評価は気持ち控えめにしてみました。

最初に薦められたときはもっと普通サイズの絵本かと思いましたが、意外と手のひらサイズの小さな本で、紙質もやわらかく軽い本でした。
中高校生以上大人向け……かもしれません。