「くまって、いいにおい」 ママの声

ほりかわりまこさんのイラストに惹かれ、手に取りました。『あーといってよあー』や『海のアトリエ』など、ほりかわさんがイラストを描く作品はたくさんありますが、どれも優しくキュートで大好きです。
森の奥に住む、いい匂いのするくま。森の動物たちは悩み事の相談にやってきて、くまのにおいをかいで癒されます。でもくまは、悩みを聞いてばかりでくたびれてしまって……。
「におい」に着目するお話は珍しいのかなと思いました。でもにおいって生活する上で意外と大事な要素ですよね。そんなことを改めて思い起こさせてくれるお話でした。

小学校低学年中学年のお子さんの一人読みにぴったりな１冊に思いました。
いいにおいのするくまは森の動物たちの悩み事を癒している日々です。
でもくまは少し憂鬱な気分になるのです。
当たり前だったことがなくなって初めて気づく気持ち。
今あることの貴重さはなくしてみてわかるものだったりするんですよね〜。

『夏の庭』の湯本香樹実さんの作品なので、どんなのかな？と興味をもって読んでみました。
う〜ん。言いたいことはよくわかるのですが、ちょっと語りすぎるような気がします。
絵はほんわかとしていていい感じですし、お話の入りも良いのですが、作者の主張が表面に出てきてしまい、登場人物の言動がぎこちなく感じます。
話の展開も早い時点で読めてしまいます。
私としては、童話は、作者の姿があまり見えない方が好きですし、主張は文字に表さず、文章から醸し出して欲しいのです。
ちょっと意地悪な見方かもしれませんが、児童文学の作者が、ちょっと童話も書いてみようかと軽い気持ちで手に染めた様な感じを受けてしまい、今ひとつ乗れませんでした。

とっても素敵な胸にしみるお話です。
娘は小学校３年生の時、この本を読んで読書感想文を書きました。年齢の割に幼い本を選んだなぁ・・って思ったんですが
「ほんわかした素敵な感想文が書けています」と担任の先生がコンクールに出品してくださった想い出があります。
友情、自分自身の心のあり方などいろいろな事を考えさせられます。大人にもお薦めの本です。