高慢なお姫様が、品格を得てかつてバカにした王子様と結婚します。
サクセスストーリーとしてもまとまりのある作品です。
今まで見たホフマン絵の中で最上級品ではないかと思います。
結婚したいと集まった王子たちを、みんな馬鹿にして相手にしない高慢なお姫様。
業を煮やした王様が、お姫様の結婚相手にと決めたのは乞食楽師。
乞食に連れられて、たどり着いたちっぽけな貧しい家で、お姫様は様々な経験をします。
それまで自分でしたこともない、料理、かご作り、店の売り子、しまいにはお城の下女として働き、苦労しながら、辱めをウケながら、お姫様は品格を磨いていきます。
そして、結婚したのはかつてバカにしたつぐみのひげの王子。
その王子が、馬鹿にされたのにもかかわらず、乞食に変装し、様々な試練を与えながら、お姫様の心を育てていくのです。
つぐみのひげの王子さまは、お姫様の高慢なふるまいの中に「本当の姿」を見出していたのです。
乞食に変装した王子様に連れられて行くお姫様の姿が、それほど昔の衣装ではないのが妙に心に残りましたが、納得の一冊です。