「1月1日の朝、宅急便のお兄さんが 玄関のベルを押した」という書き出しで、物語は始まります。
届いたのは、ペンギン。
それが、毎日続いていくというストーリーでナンセンス物かと思いきや、途中で足し算、掛け算の考え方が展開します。
12月31日に、365羽になったところで、贈り主が登場するのですが、そこで勢い環境問題を語り始めます。
地球温暖化の影響で、南極の氷が融け始めているので、ペンギンの住むテリトリーが狭くなっている。
だから、北極に移動させたい。
でも、国際条例によって保護動物は輸出が禁じられている。
だから、目立たない方法として、君達の家に毎日、1羽づつ送ったというもの。
そもそも、南極は大陸だから、論理展開がおかしいです。
北極は氷しかないので、シロクマのテリトリーが狭まっているというのは、度々問題となっていますが、南極については初耳です。
しかも、国際条例って、ワシントン条約のことを指すと思われますが、絶滅危惧種に指定されているペンギンはいるものの、それは一部に過ぎません。
一番の問題は、法律に触れるから、目立たない方法で遂行したと、法を犯すことを是としている点。
絵本の世界とは言え、こんなことを良しとしてしまう表現に、非常に問題意識を持ちました。
ナンセンスの絵本なのか?数学の絵本なのか?環境問題の絵本なのか?そもそも視点がぼやけ過ぎ。
三色刷りの絵は、シンプルで好感は持てたのですが、絵と対象年齢のギャップが大き過ぎる感が否めません。
ストーリーの内容は、足し算あり掛け算ありですから、九九をかじる頃でないと楽しめない気がしました。
絵だけを楽しむのなら良いのですが、内容に難ありと思います。