「いそっぷのおはなし」 ５歳のお子さんに読んだ みんなの声

１つのお話が４ページ分に短くまとまっています。絵は見開きで大きく、迫力があるなかにもユニークさが見えて面白いです。細かい表現やセリフなどはほとんどありませんが、年少さんか年中さんくらいならちょうど良さそうな文章量でした。

表紙の降矢ななさんが絵に惹かれて手に取りました。
イソップの童話の中から「うさぎとかめ」や「ありときりぎりす」など、有名なおはなしが９つ、見開き２ページ×２に描かれていました。
絵本ナビの読者に向けて作者の木坂涼がおっしゃっていた、「文はシンプル＋絵は迫力」というコメント通り、画面いっぱいに描かれた大胆な構図の挿し絵がとても面白かったです。
絵を細かく見ると、いろんな遊びが散りばめられて大人もクスリと笑えて楽しめます。説教くさくないのもGOODです。

皆さん高評価なので、こんな事を書くのは気がひけるのですが・・・。
小学校中学年以上のお子さん、もしくは大人向けの絵本だと思います。
教訓の無いシンプルな文章も、挿絵も本当に素晴らしいです。
ただ、ご注意下さい。この本、相当怖いです。
殊に「ひつじかいとおおかみ」
そう来たか！と思いました。
確かに、現実問題として、羊だけ食べられてエーン、という結末であるはずは無いですよね。
でも、このたった２ページのお話で、かなりショックを受けてしまいました。
息子は幼すぎたのか、今ひとつ反応が薄かったのですが、私は怖がりなので、もしも小学校２年生頃この絵本に出会ったとしたら、怖くて数日は眠れないと思います。
評価は、小学校低学年の怖がりのお子様に限定してという事で、低く付けさせて頂きました。絵本としては本当にすぐれた絵本です。

気になっていたのですが、実際読んでみると、想像以上に良かったです。
イソップのお話が短編（短編というよりもっと短いかな）で書かれています。それがもう、「ここまで要点だけでお話を伝えることができるのか！」という未知の世界のものです。
前フリもオチもありません。下手な装飾は一切なしなのに、胸にズバっと入ってくる。
そして降矢さんの絵もすばらしいです。味があるし表情も最高！
読んでない方、ぜひ読んでみてください！

なんといっても、降谷ななさんの絵が魅力的です！
交互に現れる、白黒と色彩豊かな絵の中で、大きく描かれたイソップの動物たちが息づいています。
「ともだちや」でおなじみのキツネも嬉しいところです。
シンプルな木坂さんの語り口も新鮮で、新しいイソップ物語にワクワクしました。
ただ、元々のイソップ物語には教訓部分がないということですから、
実は原点回帰なのかしら。

子どもの頃、私の家にもイソップ物語の本がありました。
「悪いことをするとひどいめに遭いますよ」といったいかにも教訓的な文章とアニメっぽい絵で、好きでも嫌いでもなく読んでいましたが、
それでも読んでおいてよかったなと思います。
洋画を見るとき、聖書の話が分かるとより背景を理解できることがあるのと同じように、
イソップやアンデルセンなどの定番の物語は、
様々なエンターテイメントの土台になることが多いからです。

日本の昔話は意識して読み聞かせてきたけれど、
意外と抜けてしまっていたイソップ物語。
手に取るいいきっかけをもらいました。

怖がりの息子は、3本のおのでは固まってしまったりとすごく好き！ではなかったけれど、
ページをめくるごとに物語の世界に引き込まれていました。
こんな贅沢な絵本でイソップに出会える息子や今の子どもたちが羨ましいです。
大人の方にも、ぜひ。イソップの見方が変わるかもしれません。

9このイソップ物語が詰め込まれた、お話絵本。
1・2ぺーじで終わっちゃうくらい簡潔に書かれたイソップ物語なので、読み聞かせの初期から楽しめそう。

『ともだちや』でおなじみのきつねくんの挿絵がコミカルで、何度読んでも飽きないようです。