1973年刊行。変な森に棲むみみずくから聞いた、変な泥棒学校の話。泥棒の先生と生徒たちの学習の様子をご紹介。
あとがきによると、大体1960年ごろに原作を発表したらしい。「論文の下書きの裏に、黒と黄の二色で乱暴に走り書きした紙芝居」だったが、筆者の思いとは裏腹に子どもたちに大人気。度重なる上演の請求に答えながら、子どもに与える作品についての考えを改めさせられたという。
子どもには最高のものを与えるべき、というそれまでの作者の信念は素晴らしいものに違いない。だが、実際には、子どもは「くだらないもの」「ただ単に笑えるだけのもの」「どうでもいい話」などを、面白がったり、喜んで何度も読んだりする。自分が子どものころも、大人が与える「よい子向け」のものや教えよりも、PTAが激怒して反対運動をおっぱじめるような下品な話や、残酷な漫画、くだらないギャグなどを好んで一生懸命に見ていた。
単純に笑えるものに飢えていたのかもしれない。
あるいは、大人が自分たちのずるさや汚さを棚に上げて、子どもに清く正しくあることを押し付けるのが嫌だったのかもしれない。
そんなことを、この絵本の本編と後書きを読んで考えた。
考えさせられるような内容の話ではないが、ただ単に面白がって読むには、少々年を取りすぎた自分。
単純に「面白い」「つまらない」というだけで大騒ぎできるのは、とても素敵なことだと思った。
ひねくれた子ども時代の私に与えたら、どういう反応をするだろうか?