モンゴルのイチンノロブ・ガンバートル(作)×バーサンスレン・ボロルマー(絵)の絵本シリーズです。
このおはなしは元々モンゴルにあった
“お母さんのお乳は、花のしずくを集めてわかして入れた、一杯のお茶ほどに貴重である”という言い伝えと、モンゴルの昔話に出てくる「マンガル」と「ショルマス」というお化けを使った創作だそうです。
バーサンスレンの絵は、一見デッサンの荒い感じにも見えますが、描かれている物の質感を感じさせる素敵な絵です。
1つ1つのシーンにとても丁寧に描いてくれているので、
例えば最初のページの「ゲル」(家族のテントの中)の様子も、どんなものがどこにあって、だれがどういう場所に座って、テントの中にはどんな場所に何があって……と、よくわかります。
また、主人公バートルと一緒に出かけた馬=ヤンザガの表情や動きを見てください。主人であり、友でもあるであろうバートルと一緒になって、恐ろしい夜の森を抜けて、朝日が見えてきたときの顔といったら!
心の花のしずくを摘むシーンも素敵でした。
生活環境は今の日本と全く違いますが、こういう生き方もありだな、こういう家族のつながりっていいな。と思わせてくれる1冊だと思います。