世の中には、おじいちゃん子、おばあちゃん子というのは確かにいる。
私は生まれる前におじいちゃん、生まれて間もなくしておばあちゃんを亡くしているので、おじいちゃん子たちの心理というか境遇というか、全く理解できないのだが、なんとなく残念でしかたがない。
おじいちゃんがいたら、おばあちゃんがいたら、何を教えてもらえただろう。
目下のところ、自分がおじいちゃんになることも予定はないから、自分の人生でおじいちゃんやおばあちゃんはうんと遠い。
だからだろうか、こういうおじいちゃん子の男の子を主人公にした絵本を読むと、うらやましい。
この作品ではおじいちゃんが口にする「ごくらく」という言葉を鍵語にして、男の子はおじいちゃんの死に直面することになるのだが、死んでいく順番でいえば初めて目にする肉親の死はおじいちゃんおばあちゃんのものだろうが、私はそれすら経験せずに大人になってしまったのだ。
なんだか、大事なことを学ぶことが随分遅くなったような気がする。
この作品に出て来る「ごくらく」は漢字にすれば「極楽」ということになるだろうが、こういう言葉は現代のおじいちゃんやおばあちゃんは口にしないのではないかしら。
つまり、現代のおじいちゃんおばあちゃん世代は自分とあまり年齢が変わらないはずで、さすがに私は「ごくらく、ごくらく」などとは呟かない。
孫の世代にあの世のことを伝えるのも難しい時代なのかもしれない。