『おむすびころりん』を知っている人ならば、この本の意外性は充分に楽しめるお話です。
働き者のおじいさんが昼飯にたべようとしたおむすびが転がり落ちてしまって穴の中に…。
そこにいたのは、ねずみ…ではなくてお地蔵さん。
お地蔵さんが実にユーモアたっぷりです。
おむすびをおいしそうに平らげた後に、おじいさんにお尻に隠れろといいます。
このお地蔵さん、かたぶつ、いや石のお地蔵さんではないのかも。
おじいさんが鬼の金棒を振り回すところも、考えるととてつもない力持ち。
我が息子、中学生ながら受けておりました。
金持ちになったおじいさんを見たとなりのおじいさん。
それならば自分もと、同じことをします。
おむすびが転がらないから投げたところを除けば、悪者に見えないところが次のミソ。
同じようにお地蔵さんの尻に隠れたものの、くすぐったくって笑ってしまいました。
それで地獄に連れて行かれるのは、可哀そう。
ひょっとして一番悪いのはうそをついたお地蔵さん?
『おむすびころりん』に似て非なる意外性と、登場キャラクターのちぐはぐさがユーモラスで、楽しめる絵本でした。
布地に描かれた絵にも、お話のユーモアを引き立てる味わいを感じました。