遊びもしない、お菓子も食べない、お金を集めることだけが趣味だというケチルさん。
一冊の本との出会いが、ケチルさんを素晴らしいものにしました。
とことんけちなケチルさんが、捨てられている本の山を見たときに、まず考えたのは古本屋に売ること。
でも、その中の一冊の本を開いたとたんにケチルさんの心は、ケチから欲ばりに変わりました。
根元に埋めた物がたちどころに100倍になって枝に生る木があるというのです。
一度にものが100倍になる。
ケチルさんは計算を始めます。
自分の持っているお金を100倍にできるのです。
だけど、その木のある場所に行くためには99人の山賊が待ち構えているさんぞく峠を越えなければいけません。
100倍の木にたどり着くまでに、物を取られてしまうのです。
どうやってその峠を越えるかケチルさんは考えます。
立てた計画が面白いのですが、有り金すべてを持ち出すのですから、本当のけちではなかったのかもしれません。
さんぞくに金をばらまいても、自分の財産が増えるという、一世一代のケチルさんの計画。
そこからの成り行きには笑ってしまいました。
最後にケチルさんは一文無しになってしまうのです。
一文無しになってしまったけれど、ケチルさんはとても大きなものを得たようです。
この結末を、子どもにはそのまま受け取ってほしいと思いました。