なんとも不気味な絵本です。
砂漠を旅する男と駝鳥がいます。
次第に食べ物がなくなっていきます。
それからどんなことが起きるのだろうと思うと、心がゾワゾワしてきます。
果たして、それまでの仲間の意識が、貪欲な生きるための切望に変わっていきます。
想像できる話ですが、とても残酷です。
駝鳥は身体を失い続けても共に歩き続けるのです。
きっかけは、駝鳥が男の大事にしていた、金ぐさりの時計を呑み込んでしまったからでした。
男の時間を奪ったということを暗示しているのでしょうか。
男の行為を容受していた駝鳥が反撃に出たのも、きっかけは時計でした。
結末に絶句しました。
決して明るい話ではありません。
心の闇を抉るようなお話です。
福井江太郎さんの絵が、あまりにもエグいです。
物語の重さに、大迫力な効果を加えていました。