「館」と呼ぶにふさわしい建物が主人公。
どことなく顔に見えるのが不思議です。
最初は貴族が住んでいたというのですから、
ずいぶん昔のことなのですね。
それから、ホテルやレストランになったり、
ショッピングセンターになったり。
火事になってからは悲惨ですが、この建物が、
かわいそうな子どもたちを救ったとも言えます。
作者の建物への愛が伝わってくるストーリーでした。
緻密に描かれた建物の素晴らしさはもちろんのこと、
そこに住まう人々の生活観が伝わってきます。
定点観測のような視点で、時間の流れも体感できます。
でも、何で穏やかなラストでしょう。
建物の気持ちに触れた思いでした。
グイグイと惹きつける展開に、
子どもたちも聞き入っていました。
作品に登場するかわいそうな子どもたちの姿から、
何か感じてくれたら嬉しいです。