生きていくなかでどんどん増えていく、思い出という風船。
ぼくは弟に風船を見せてあげるし、おじいちゃんからは色とりどりの風船を見せてもらう。
そんな大切な時間がいつまでも続くと思っていたのに……。
大切な誰かと、同じ風船を持っていることは、かけがえのない宝物だ。
だけど、年をとって風船を持っていられなくなったおじいちゃんだって、僕の大切なおじいちゃんだということは変わらないのだ。
とんでいったふうせんは、振り返ればそこにあったんだね。
もう追いかけなくったっていい。
何度でも風船の色やかたちを、聞かせてあげるよ。
あっ、今こうしている時間も、おじいちゃんとぼくの新しい風船だね。