町にサーカスがやってきました。
サーカス一の人気者・ライオンは、猛獣使いのむちで自由自在に動きます。飛んだり、火の輪をくぐったり。
曲芸が終わると、ライオンは、少年の笛の音に、ごろりと寝転び目を閉じます。
そんなある日の夜、サーカスが火事になり、動物たちが逃げ出して…。
ゲーテの短編を絵本にしたもののようです。
端的で詩的な文章と、異国情緒の漂う挿絵で、構成されています。
逃げ出したライオンは、猛獣使いにも、やりを持った若者にも、猟師にも猟犬にも屈しません。
ライオンの心を唯一捉えた、少年の笛の音。その意味を、考えさせられました。
少年だけが持っていた大事なもの、それはライオンへの愛情だったのでしょうね。そしてそれは、ライオンが最も欲していたものだったのでしょう。どこか、子育てにも通じるお話だなと思いました。