核家族化が進み、家で弟・妹など“新しい命”が生まれる事を見ることはあっても、一緒に住んでいる祖父母が次第に衰え、“死”を迎える事を近くで見る機会が、今の子どもたちは少ないと思います。
主人公の男の子が、しばらくぶりにおじいちゃんと数日生活を共にします。
子どもの目から見た老人の行動は興味深いようで、その視点に笑わされる場面もありました。
お客さんのようなもてなしで、おばあさんを失ったばかりのおじいちゃんをいたわるこの孫一家の優しさに良いお話しだと読み進めました。
しかし、やはりお客さんなんですよね。
おじいちゃんにとってのホームは、おばあちゃんと過ごした家(見返し前に描かれています)こそが、自分のペースで動ける場所。
見返し後ろのおじいちゃんが、孫の家から自宅に戻った様子が描かれていますが、生き生きしているように見えます。
最後に、孫たちがおじいちゃんの家に遊びに来たところで、見返し後ろの絵は終わっています。
『そうそう、尋ねていくのが良いかも。また、招くのならば、おじいちゃんに家事などお願いしてみるのも、かえっておじいちゃんには居心地がよいのかも』なんて一人思いました。
老夫婦で生活できるうちは良いけれど、パートナーを失い一人生きていくことは、淋しさと向き合い、体の衰えと相談し過ごして行かなければならない難しい時間なのだなと改めて思いました。