真っ赤な毛布をかぶった子供が、山の道をいそいでいました。
その日このあたりは「水仙月の四日」にあたっていて・・・。
やがておそろしい雪婆んごが、雪童子や雪狼をかけまわらせて、猛吹雪をおこさせる日。
まっ青だった空がかげりはじめ、だんだん強くなってくる風と雪の中の風景。
あぜみ(春に小さな釣鐘形のしろい花をつける)・やどりぎ
(民族にとって生命や再生を象徴する植物)・・・それぞれ巻末より参照。
自然界が新たに迎える生命を感じます。
宮沢賢治さんの想像力によって生みだされた神秘的な雪の妖精たちと
吹雪に巻きこまれた子どものお話しが、やがて訪れる生命の誕生する季節
『春』への期待感を黒井健さんの挿絵によってより神秘的に
感じる作品です。