兵隊さんが、手に入れたお金と魔法の火打ちばこで、お姫様とめでたくゴールイン。
あっさり書くと成功物語なのですが、書かれ方にかなり疑問符が付く作品です。
金のありかと教えてくれた魔女(決して悪者に描かれていない)をいとも簡単に殺してしまった兵隊さん。
お金で好き放題したあげく、お金が乏しくなったところで新たな発見。
火打ちばこの魔法を知った兵隊さんが繰り広げる好き勝手は、ほめられたものではありません。
好き勝手の報いか、捕えられて処刑されるというその時に、登場した魔法の犬たちが人々を殺戮する光景は悪夢のようです。
軽々しく描いているけれど、かなり危険な語り口ではありませんか。
グリムにも同じようなお話はあって、悪事がそのまま通されてしまう構図は目にしてきたのですが、そこにある理不尽さには皮肉が込められていて、反面教育的にも受け取れたのですが、この物語については、あっさりとし過ぎていて、兵隊さんが美化されているようにも思えてしまいました。
それでもポイントが高いのはエリック・ブレグバッドの絵のせいでしょうか。
ブレグバッドは兵隊さんを少し突き放した描き方をしていて、めでたしめでたしにはしていないように思えました。
低学年に読むときには、要注意絵本かも。