このお話は、「まんが日本昔ばなし」で見たような記憶があったのですが、再放送されていたものを母が録画して送ってくれたとき、「あっ、やっぱりこれだった!」と、一気に気持ちはあの頃へと戻っていきました。(私自身の子ども時代が、もうすっかり「むかし、むかし」の世界になってしまいましたが!!) 娘も、これまで見た日本の子ども番組とは違った楽しさを発見したようで、これなら絵本のほうも楽しめそうだな、と思い、読んでみました。
松谷みよこさんの文章は、独特なテンポがあり、民話のよさを惜しみなく伝えてくれます。方言や語りべ調の聞きなれない言葉が多くても(「んだ。」って何?、とか聞かれましたが)、小さい子どもにも(海外で生まれ育った子どもにも)わかりやすく、親しみやすい語り口で、いつのまにか民話の世界に吸い込まれていくようです。
瀬川さんの絵もまたユニークな魅力があり、日本の昔話によくマッチしていますね。お二人のコンビによる作品の中では、「もうねんね」が初めて娘に読んだ絵本で、当時をなつかしく思い出しましたが、少し大きくなってからは、松谷さんの「ちいさいモモちゃん」や、瀬川さんの「ふしぎなたけのこ」が、娘のお気に入りになりました。「やまんばのにしき」も、これから何度も繰り返し読みたいな、と思える1冊です。
このお話に出てくるやまんばは、人間味が感じられ、他の登場人物も、実におもしろいキャラクターばかり。やまんばの赤ん坊「がら」は、「まゆとおに」のまゆにも劣らぬ力持ちで、豪快で優しいやまんばもまた、まゆのお母さんと重なるところがあります。
娘は、もう1人の主役「あかざばんば」の勇気に感心したり、「がら」の力強さや足の速さに驚いたり、逆に、赤ちゃんらしい無邪気な表情を笑ったりしながら、目をくりくりさせて話に聞き入っています。
でも、「くまのすましじる」には、ぎょっとしたようで、動物好きな娘は、「悪い!」と、この時だけは、やまんばに対して怒っていました。(豚汁は「おいしい」と言って食べるのに!) そして、やまんばが持たせてくれたお土産の錦の美しさに、再びにっこり。きれいな服や光り物に目がない娘もうっとりの見事な錦でした。