湾に浮かぶたくさんの島のひとつに、移り住んだ家族。
その島に生まれ育ったマサイス少年の一生が、大自然の風景のように淡々と描かれています。
家族の歴史であり、自分史でもあります。
孫にもマイサスの名がつき、家族の歴史はさらに続いていくのでしょうか。
暗さにも明るさにも偏らず、感情的にもならず、暮らしの断片が積み木のように重ねられていきます。
スケッチのように重なる家族の絵は、記録写真のようです。
小説になったら、人生のひだが展開されるのでしょうが、この絵本は厭味がありません。
多少物足りなさも感じますが、一生の出来事をこの絵本の中に凝縮していることがすごいと思います。