ここに出てくるオオカミは、一見強くて、ニヒルで、ちょっと意地悪ぶっているけど、ほんとは心のナイーブな、優しいやつ。さらに、うっかりもの(おちょこちょいとか、早とちりともいう)である。
自分の誕生日を一日早いと勘違いして、1人舞い上がっています。ところが、誰も、お祝にこない。(当然です。日にちが違うんだから)
あんまり悲しくて、悲しくて、とうとう心を捨ててしまいました。
「こころなんか、いらないぞーっ」って。
そのすぐ後で、やっとオオカミを探し出したキツネが、お誕生祝いにやってきます。
ちっとも喜ばないオオカミに、キツネは聞きます。
「じゃ、これから うれしい日は いちども こないんだね」この時のイラストの手法がすごい!
大きなオオカミの顔が一面に描いてあって、その目玉の中に、キツネの心配そうな顔が(右目と左目に)2つ映ってる。オオカミの気持ちとキツネの気持ちがものすごく出てるって、感じ。
結局、この言葉で、心を取り戻したオオカミ。
一日、キツネのとたっぷり遊んで、幸せそうに眠りにつきました。よかったね。オオカミ。
このシリーズは、ナレーションというか、進行役みたいな語り役で、いつもミミズクじいさんが出てきます。
このじいさんの「締め」の言葉が、すごく好きです。