絵の美しさに引き込まれてしまいました。
心憎いまでに繊細で情緒的で官能的な、切り絵舞台です。
「おしらさま」は、遠野物語でもとても神秘的なお話です。
馬に恋する娘という禁忌の物語でありながら、蚕となって家を護る神として話を展開します。
解説で、東日本大震災の津波被害に結びつけた、作者のひだかのり子さんは、東北地方の家の守護神とおしらさまをリンクさせたのでしょう。
タブーを犯したために命を失った飼馬と娘ではあるけれど、二人の暮らした家でうけた親の恩を、憎しみよりも強く感じていたということでしょうか。
人の情にも踏み込んだ切り絵に、ただ切なさと愛おしさに包まれた絵本です。