「ツェ」という名前のねずみのお話です。
「ツェ」だなんて、変な名前だなと思ったのですが、なるほど、このねずみの名前って、
物事がうまくいかなかった時などについついやってしまう舌打ちの音「ちぇっ」から
とったんだなということが、読み終えるとわかります。
「ちぇっ」を宮沢賢治が表現すると「ツェ」になるんでしょうね。
とにかく、このツェねずみの性格が悪いことにはびっくりさせられます。
自分に起こった悪いことや嫌なことは、全部誰かのせいにするんです。
そんなヤツの行く末は・・・ある意味、期待通りの結末になっています。
「まどうて下さい、まどうて下さい」が口癖のツェねずみでしたが、
さすがに最後はこの口癖は出ませんでしたね。
ねずみが、柱やバケツと普通に会話しているシーンでは、なぜか違和感を感じずに
すんなりと受け入れることが出来ました。、小さな生き物たちは、もしかしたら
そうやって物とだって会話を交わしているのかもしれないという発想や想像は、
きっと宮沢賢治の世界観なんだろうなと思います。
結末が気になる終わり方ですので、「その後」の続きを考えてみたら
面白いかもしれません。そういう余韻を残した終わり方もまた良かったです。