広いはらっぱで、のんきに暮らす羊の群れ。 彼らには、たった一つだけ悩みがありました。夜になると、オオカミが群れを襲い、なかまが一頭ずつ消えていくのです。 そこで、一頭のとしよりの羊が思いついた自衛手段というのが・・・? なんと! とがった牙をはやすことでした。 死んだけものの牙を、アラビアのりでくっつけて、いれ歯をしたのです。 牙をむき出しにしたその顔は、それはそれは恐ろしい顔つきになり、それをまねして、群れの羊たちも競って牙のいれ歯を始めました。 これで一安心。 オオカミは襲ってこなくなりました。 ところが・・・ 牙が邪魔して、草が食べられなくなった羊は、他の動物を襲って食べ始めたのです。
水彩絵の具(?)を使って描かれた、荒削りな(これが味があっていいんです)絵と、お話の絶妙なコンビネーション。 何度も吹き出してしまいました。
肉食になった羊は、不思議なことに勇気がもりもり湧いてきて、ライオンやトラにも負けない強い動物になったつもりになり、獲物を襲っていきます。 ここまでくると、あっぱれ! といった感じです。 「自然の生態系がこわれてしまう!」 なんて、思われる方もいらっしゃるでしょうが、最後のページに大爆笑の おち が待ち受けていますよ。おたのしみに・・・!