「タネを1つまくと、次の年には2つ実る」と、基本は、倍々計算の絵本なのですが・・・。
心地よく、予想を裏切られました。
まず、主人公はタネをガンガン増やしません。
なまけものの主人公、最初に2つのタネをもらうのですが、毎年1つ食べて1つ埋めるので、タネはいつまで経っても、2つより増えないのです。
じれったくなって、「全部埋めるの!!それじゃ、増えないよ!!」と声を上げる子どももいるほどです。
やがて、男は気づいて、やっとタネを2つ埋めます。
そこからは、収穫したタネを、食べたり、蓄えたり、配ったり・・・そのたびに、+、−、×、と計算を繰り返し、数が安定したところで、まさか!?の結末。
数同様、永遠に続く物語が、穏やかに、予感させられます。
安野さんは、ゆっくりとこの本を作られたとのこと。
読み手も、鉛筆片手に、美しい金と赤の実や、優しい登場人物(動物)の表情を味わいながら、ゆっくり数を楽しめます。
心が豊かになる、一冊だと思います。