スラヴ民話に登場する妖婆バーバ・ヤガーの昔話を基にした少女マルーシャの大冒険物語です。
かぶを買うためのお金をお遣いの途中で落としてしまったマルーシャを、森でつかまえたのがバーバ・ヤガー。
彼女の小屋が走るところが描かれたページは、奇怪で不気味。
賢くお茶目で可愛いマルーシャが、バーバ・ヤガーから逃げ出すだけではなく、かぶを手に入れようとするところで、なかなか肝のすわった子だと思いました。
怖いのは、バーバ・ヤガーより親なのかも(笑)。
バーバ・ヤガーの弱点を逆手に取りつつ、目的を達成させてしまうところが、カッコイイ。
一方、読むほどに人の良さ、自らの弱点をポロリともらしてしまう無防備さ、マルーシャの計画に簡単に乗っかってしまう軽率さ。
この対照的な二人が、エンディングに向け、形勢逆転するストーリーが、こどもたちを惹き付けるのでしょう。
またブレア・レントさんが、可愛らしいものと、おどろおどろしいまでの迫力の両極のものを、美しい版画でこの独特の世界を表現し尽くしている素晴らしい作品だと思います。