この絵本に出会うまで、宮沢賢治にこういう作品があることを知りませんでした。
楽な気持ちで読み始めたのですが、だんだん嫉妬というか嫌がらせというか、
心の悪の部分がだんだん滲み出てきて、子どもが読むにしてはちょっと
キツイ内容かななんて思ったのですが、そういうことをふまえた上で、
ラストは心を改める展開なので「セーフ」といったところでしょうか(笑)
蛙にしかわからない「蛙語」が出てきたり、蛙の世界での習慣というのかな、
そういう細かい設定があったりして笑わせてくれます。
あと、独特な言い回しが良いですね。
野鼠が小さなゴム靴を手に入れるまでを想像した描写があるのですが、
野鼠には気の毒ですが、読んでいてとても楽しい部分でもありました。
カン蛙への嫉妬をむき出しにしたブン蛙、ベン蛙の行動は、ある意味必見です。
人間の世界でもこういうことがあるだけに、この場面にはいろいろと
考えさせられました。ラストで改心してくれたみたいなので救われますが、
これを読んだ子ども達が、いろいろと考えてくれることを期待すると、
高学年向きの絵本ではないかと思います。