絵本というよりも、描写をもってストーリー性を醸し出した美術書のような本です。
馬車から落とされてしまった幼犬が、人間が再会するまでの歳月をオオカミの母親に育てられます。
オオカミの子どもたちと一緒に育った犬の心は、オオカミなのでしょうか。
オオカミとしての習性を持つのでしょうか。
背景となるロシアでの社会情勢も気にかかるところです。
育ての親の母オオカミが罠にかかったことがきっかけで、犬は人間と再会し、人間とともに暮らすようになります。
長年オオカミに育てられた犬というレッテルが着いて回ります。どのような暮らしをしたのかは、絵を観ながら思い測るばかりです。
でも最後はオオカミとして人生を終えることが、物悲しくもあります。
自分の一生が走馬灯のようにめぐる、この本の終盤が圧巻でした。