しばわんこの和の行事えほん しばわんこの和の行事えほん しばわんこの和の行事えほんの試し読みができます!
絵・文: 川浦 良枝  出版社: 白泉社 白泉社の特集ページがあります!
お正月、節分、夏祭り...季節に縁のある遊びに触れながら、親子で楽しめる日本の行事をご紹介。

猫月カエルさんの公開ページ

猫月カエルさんのプロフィール

せんせい・50代・大阪府、女の子17歳 男の子13歳

猫月カエルさんの声

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自信を持っておすすめしたい 心の波紋  投稿日:2018/11/30
100万回生きたねこ
100万回生きたねこ 作・絵: 佐野 洋子
出版社: 講談社
この絵本に初めて出会ったのは小児科の待合室だった。当時、決して軽いとは言えない病気を患っていた4歳の娘を連れての通院が日課になっていたのだ。私の影響で猫が好きだった娘に読んでやろうかと何気なく手にとった絵本の表紙には、ふてぶてしいとらねこがでんと構えていた。
ページを開くと何度も死んでしまうとらねこ。娘もなんとなく微妙そうな顔をしている。どうやってオチをつけるのだろうかと心配しながら読み終えた。最後、生き返らなかったとらねこに温かさだけではない何かが心に湧き上がる。「なんだか変わったお話だったね?」と少しキョトンとしている娘を見ながら、確かに病院に置く本なのかと疑問も感じた。正直、ちょっとモヤモヤした読後感だったのだ。

しばらくして、仕事で絵本を読むことが増えて、とある本屋でこの絵本に再会した。なぜだか表紙のとらねこを見たらどうしてももう一度読みたくなって、すぐに買ってしまった。じっくり読み返してみると、いろいろなことが感じられた。大切なものを持つことと失うことの意味。生きることの目的。他者と心が通じ合う喜び。自分であることの誇り。けれどもこの話の主眼はそれだけなのだろうか? 白いねこに心を奪われたとき、とらねこは何かに負けて何かを失ったのではないか? けれども同時に初めて何かを知って初めて自分よりも大切なものを得ることができたのだ。トラネコは最後幸せだったのだろうか? 生き返らなかったのは生きることに満足したからなのか? 失うことの悲しさを二度と味わいたくないからなのか? 感動しながらその感動の所在がよくわからなかった。

それから何度もこの絵本を読んだ。読むたびに違った何かが見えてくる気がした。

世の中にはいろいろな絵本がある。いつも同じ感動を与えてくれる素晴らしい絵本がある。それは心の水面にできる寸分違わぬ美しい波紋のようなものだ。けれども、この絵本は少し違っていて、心にできる波紋がいつも同じとは限らない。自分の心の状態によって、精緻な波紋も、乱れた波紋も、時には大きなさざ波さえも起きることがある。きっとこの絵本は、波紋そのものではなく心に投げ込まれる石なのだ。だから人によって、自分の心の状態によって起きる心の波紋が毎回異なる。作者の言いたいことはこれなのだ、と簡単には説明できない。この絵本がここまで多くの人々に愛され読み続けられている一番の理由はここにあるのかもしれない。

まだ1回も生きおわっていない私は、その1回の間に百万回、は無理でもきっとあと百回はこの本を読むと思う。この人に懐くことのないふてぶてしいとらねこが本当に大好きなのだ。感動とか名作だとかの先入観なしに、是非とも一度はこのとらねこに会って欲しい。そしてそのとき生まれた心の波紋を覚えておいて欲しい。きっともう一度このとらねこの話を読み返したいと思う日が来るに違いないのだから。
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自信を持っておすすめしたい 1、2、たくさん+1!  投稿日:2018/10/17
ちいさなエリオット ひとりじゃないよ
ちいさなエリオット ひとりじゃないよ 作: マイク・クラトウ
訳: 福本 友美子

出版社: マイクロマガジン社
このちいさなエリオットの大きなテーマは『家族』です。ちいさな象のエリオットにはねずみくんという仲良しの友だちがいます。けれど、ある日ねずみくんは自分の大家族の集会に行ってしまい、残された家族がいないエリオットはひとりぼっちの一日を過ごすことに。その小ささとカラフルな水玉模様からエリオットはぬいぐるみがモチーフなのかな?と想像が働きます。

建物の窓からひとり顔を出すエリオット。映画館でひとりのエリオット。誰も悪くはないけれど、だからこそひとりの寂しさはどうしようもないものです。いつもは家族の声が溢れる家の中に、何かの事情で自分一人だけしかいないときにこみ上げてくる寂しい気持ち。そんな経験は誰にもあると思います。ましてやエリオットには帰ってきてくれる家族はいないのです。

例えようのない寂しさを感じながら雪の中を歩くエリオット。そんなとき、家族の集会にでかけたはずのねずみくんが声をかけます。「あったかいところに いこう。いっしょに おいで」

もちろんエリオットとねずみくんは本当の家族ではありません。けれど、二人のつながりは、新しい絆を生み出していきます。だって二人は本当の友だちなのですから!

ひとりぼっちでも自分がいることはとても大切です。それは0か1かの差で、本当に大きな違いです。でも、1と2の差も大きいのです。自分がひとりのときに誰かが手を差し伸べてくれる。ひとりの誰かを自分が受け入れていく。そうやってひとりぼっちの1が温かな2になっていくことの素晴らしさと大切さ。ちいさなエリオットの本当のテーマはこちらなのかもしれません。

では『たくさん』と『たくさん+1』にはどんな差があるのでしょうか? 是非ともこの絵本の最後でその違いが示す温かさを感じてもらえればと思いました。
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自信を持っておすすめしたい 受け継がれる風景  投稿日:2018/10/03
いっしょにのぼろう
いっしょにのぼろう 作: マリアンヌ・デュブク
訳: 坂田雪子

出版社: TAC出版
大切な相手に新しい風景を見せてあげたいと願うこと。この絵本はそんな想いを描いたアナグマのおばあさんと子ネコのルルの物語です。

新しい世界へ一歩踏み出すためには勇気が必要です。『山の頂上』という新しい風景を見るために、気弱なルルはその第一歩のための勇気をアナグマのおばあさんにもらいます。山で体験する初めての出来事の数々。山頂から眺める素晴らしい景色。一歩を踏み出すことに成功したルルはたくさんのことを学びます。
けれど、いつしかおばあさんは足腰が弱くなり山に登れなくなってしまうのです。そして一人で山に登るルルは、ある日、山に登る勇気を持てない小さなうさぎと出会います。まるで昔の自分のように… こうして手を引かれる側だったルルは、優しくうさぎに手を差し伸べる側になっていくのです。

これはルルに焦点を当てれば、成長の物語です。でも、アナグマのおばあさんはどう感じているのでしょうか? ルルともう美しく雄大な風景を共有できない寂しさを抱えているかもしれません。けれど、それよりも手を引く存在になったルルを本当に嬉しく思うのではないでしょうか? なぜなら、このおばあさんにも自分がまだ幼かった頃、自分の手を引き新しい風景に導いてくれた誰かがいたはずだからです。おばあさんにとってのその人はもういないかもしれません。それでもそのとき自分を大切にしてくれた相手の記憶はきっといつまでも一番のたからもののままだと思うのです。その心が受け継がれていくことを誇らしく思わないはずがありません。

初めはか弱い存在だったお子さんたちもどんどん成長し、いずれは自分の足で歩き始めます。まっすぐに前を向いて必死に進むとき、今まで守り育てたあなたのことを振り返る余裕はないかもしれません。そんな巣立ちを見送ることは悲しいものです。けれども、大切に想う気持ちは受け継がれ、またどこかで新しい風景を見せてあげるためにその子達は優しく誰かの手を引くのです。そんな人生の大きな流れを感じさせる素晴らしい作品でした。
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自信を持っておすすめしたい 食を”みつめ”る  投稿日:2018/08/22
おばけばたけ
おばけばたけ 作: 林 なつこ
出版社: マイクロマガジン社
ちょっぴり怖いおばけばたけで繰り広げられる謎の少年とどこか愛嬌があるおばけ野菜たちとのドタバタ劇。
次から次へと登場するおばけ野菜たちを、なぜか動じることなく不思議な呪文でやっつけてしまう少年にあれ?っとなるも、実はこの少年は…
全体的にコミカルでテンポが良く、オチも考えられていて楽しく読める絵本でした。
登場するおばけ野菜の名前がどれも秀逸で、それだけでもお子さんとの会話が広がるのではないでしょうか?ろくろっきゅうり(ろくろっ首)やきゅうりのきつね(九尾の狐)のような定番妖怪ネタから、だいこんおろち(大根おろし)やあかんべいなす(米ナス)のような食材ネタまでが詰まっていて飽きさせません。その他にも韻を踏んだ言葉遊びがたくさん散りばめられたおばけ野菜たちが登場します。韻といえばタイトルのおばけばたけもそうですし、このレビューのタイトルも、なのです。
無事おばけ野菜を収穫した少年は、最後はおかあさんと一緒に美味しそうなおばけカレーを作ります。
おなべや湯気の中に垣間見えるおばけたちの顔に、感受性の強いお子さんであれば「かわいそう」という感想を持つかもしれません。そこに気がつけるお子さんであれば「命を食して生きる人間」という存在について、少しだけお話してあげてはどうでしょうか? 食べ残している野菜にも命が宿っていたことを理解できれば、きっと好き嫌いも減ってくれるに違いありません。
そんなおばけたちを楽しみ、食を見つめ直す機会にもなる絵本、おばけばたけ。身の回りがたくさんの命で満ち溢れていることに興味を持ち出したお子さん、そしてもちろん野菜嫌いのお子さんにならピッタリの一冊だとお薦めします。
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ちがいを受け入れ、視野を広げることを教えてくれるお話

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