ニタニタ笑顔、まっ赤な毛並み、おおきな鼻の猫「ラルフ」。
セイラに飼われるペットのラルフは、少女の愛情を一身に受けて、毎日仲良く暮らしています。
それなのに……この猫、ぜんぜん、かわいくない!?
いたずら、いじわる、悪だくみ。なんでもござれの、キング・オブ・「あくたれ」!
今日もどんな悪さをするのかと思いきや、あのラルフが、あくたれる元気もなくなってる!?
自由気ままに、好きほうだい! とんでもなく「あくたれ」な飼い猫、ラルフが巻き起こす騒動を描いた「あくたれラルフ」シリーズが小学生向けの読み物に!
ラルフは食卓でも、あくたれざんまい。食事に手をつけないラルフを見て、部屋で何か食べたんじゃないかとセイラは疑います。でも、そんなことはしていないと答えるラルフ。
ウソなんてついていませんよ! だって、とっておきのごちそうは、自分の部屋にはないんですから。
ラルフのごちそうのありかは、なんと街のごみバケツ!
ラルフの食べたものは、「緑色になった手羽先」だの、「ぐちゃっとなったイカ」だの、「ぶよぶよになったお魚」だの!
想像しただけで、おなかが痛くなりそう。
「あぁ、ぼくは、ごみバケツの中のものを食べるために生まれてきたんだなぁ。」
ところがその夜、ラルフはひどい腹痛と悪夢にうなされるのです。
いわんこっちゃない!
嫌いなものはぜったい食べずに、好きなものだけひろい食い。怒られたってぜんぜんへっちゃら! 手のつけられないほど勝手で自由気ままなラルフですが、ここまで突き抜けてると少しすがすがしく感じたり、実はちょっぴりうらやましかったり。
それに、あくたれほうだいなラルフですが、飼い主セイラのことは大好き! セイラだって、どんなに手を焼かされても、やっぱりラルフのことがとっても大切!
どんなときでもふたりが仲良しだからこそ、ラルフのとんでもない悪さだって、安心してながめていられるというものです。まあ、自分の飼い猫だったらと想像すると、とても安心してなんていられませんが……。
さて、そんなラルフがおとなしくお医者さんにかかるわけもありません。具合が悪くてもみんなの手を焼かせ、元気になったとたんに、あくたれざんまい! あいかわらずのラルフですが、おなかを壊したおかげで少し、良い子になったみたい?
(堀井拓馬 小説家)
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