いつもひとりで、ぼんやり考えごと。そして、またみんなに言いふらすんだ。
「うちには 馬がいるんだよ」
エイドリアンはウソばかり話してる。私はそんなの信じない。お母さんに言っても「どうしてウソってわかるの?」なんて聞く。だけど私にはわかるんだ。ここは普通の町だし、馬を飼うにはとってもお金がかかる。エイドリアンの家と言ったら。だけどある日、お母さんと犬の散歩に出かけたら、向かった先にいたのは……。
目の前にいるのは、自分とは違う男の子。勝手気ままだし、考えていることだって全然違う。理解なんてできるはずもない。そんな風にイラ立ちながらも、少しずつ自分とは「ちがう」ことを受けていれていく主人公の「わたし」。そんな彼女の心の葛藤や変化に感動していると、私たち読者もいつの間に想像の世界の豊かさを体感してしまうのです。
読んでいるうちに、見えないものが見えてくる。詩情あふれる絵と文で描かれたこの美しい絵本を味わってみてください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
エイドリアンはいつもひとりですわってる。机もぐちゃぐちゃだし、ぼんやり考えごとをしてるし、「うちには馬がいるんだよ」ってウソばかり話してる。でも母さんは「どうしてウソってわかるの?」って、わたしに聞くんだ……。自分とは「ちがう」ことを受け入れる子どもの心の葛藤や、想像の豊かさを、詩情あふれる絵と文で描く。
途中まで、エイドリアンはどうしてウソをついているのだろうと考えていました。
嘘つきを許せない少女の潔癖さも良くわかりますから。
でも、エイドリアンの世界にはちゃんと馬がいるのだとわかったところで、この絵本は別のものになりました。
現実の世界と、イマジネーションの世界、どちらも大切ですよね。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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