たかい山のてっぺんで降った雨。
その雨が土の割れ目をくだり、やがて小さな流れとなります。
はるか遠くの地平線に見えるのはきらきらと輝く青い海。
流れは空に飛ぶタカに言います。
「海を見にいくんだ。大きな川になりたいんだ。」
流れはやがて小川となり、川となり、水辺の動物たちにうたいかけながら、
激しく、時にのんびりおだやかに冒険を続けます。
ふと、川は自分が弱っていることに気がつくのです。
「これじゃあ、大きな川になる前にきっとからからになって消えてしまう…。」
このまま川は消えてしまうのでしょうか。
それとも大きな川となって、念願の海を見に行くことができるのでしょうか。
この物語の主役は「川」。
その誕生から、やがて大きな海へとたどり着く壮大な冒険を、
動物でも植物でもなく「川」の視点から描いています。
このユニークな作品を描いたのは、ケイト・グリーナウェイ賞も受賞したエリザベス&ジェラルド・ローズ夫妻。大胆なタッチと装飾的な線、そして深く美しい色彩が魅力的な絵で、変化する川の様々な表情を力強く、豊かに表現してくれています。
子どもたちは物語を楽しみながら、きっと自然の豊かさと大きさを感じることでしょう。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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