表紙を横切る、いっぽんの、青い線。
それはマヌエルくんにとって、たのしくって、とくべつな、線なのです。
マヌエルくん、今日は弟や両親と、車でピクニック!
ページをまたいで、青い線は、どこまでもつづいていきます。
線はときに、車の走る道路になります。
鳥が羽を休める電線になります。
そして流れる川になり、空飛ぶ蝶の軌跡になります。
まっすぐにページを横切っていくこともあれば、そよぐ風を表しておだやかに波打ち、はずむ足取りを追うように、クルクルはねることも。
青い線はまるで、マヌエルくんの気持ちを表しているようにも、マヌエルくんに寄りそう友人のようにも、見えてきます。
本作は、チリの絵本『いっぽんのせんとマヌエル』の続編です。
この作品に登場するマヌエルくんは、実在の男の子。
マヌエルくんは、線が大好き!
なにかを見るときには、いつも線を探しているといいます。
そんな彼と著者とがであったことで生まれたのが、『いっぽんのせんとマヌエル』。
マヌエルくんが線をたどって、学校へ通うようすを描いた前作に続き、今作では、マヌエルくんがピクニックにでかけます!
自閉スペクトラムのマヌエルくんは、文字で示されるよりも、イラストで示されたほうが、本の内容をより深く理解できるといいます。
そこで本作は、おはなしをテキストといっしょに、ピクトグラムでも内容が表現されています!
ピクトグラムとは、言葉をわかりやすい絵に置き換えた、いわゆる「絵文字」のようなもの。
そのページに登場するモノがイラストになっているのはもちろん、動作や会話もピクトグラムで示されていて、物語の理解を補う工夫がなされています。
ちなみに、なんと続編である本作は、日本のオリジナル刊行!
前作の発売に合わせて来日した著者らが、日本の保育園で行ったワークショップで、子どもたちと触れ合って得たアイデアから生まれたのだそうです。
自閉スペクトラムの子が見る世界、その認知の特徴に合わせて工夫をこらされた作品ですが、文字や言葉よりも視覚的な理解に重点を置いた表現方法は、だれにでもわかりやすく、また、他の作品では味わえない、新鮮な絵本体験を提供してくれています!
チリで生まれ、そして日本で続く、いっぽんせんとマヌエルくんの日常を、のぞいてみてください。
(堀井拓馬 小説家)
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前作『いっぽんのせんとマヌエル』はチリの絵本。自閉症の男の子、マヌエルと作者が出会ったことで、生まれた絵本です。線が大好きなマヌエルが、線をたどって学校へいって家に帰るまでを、シンプルな言葉と絵で描きました。文字を読みにくい人たちのために、理解を助けるピクトグラムがついています。続篇となるこの絵本は、日本のオリジナルでの刊行です。外の世界に興味を持ち始めたマヌエルが、家族でピクニックに行って、いろいろな生きものに出会います。1巻目の刊行時に、プロモーションのために来日した作者と画家が、日本の保育園でワークショップをしました。そのときに日本の子どもたちから受けた刺激もあり、生まれた絵本です。ピクトグラム付き。
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