ポカポカ陽気の昼下がり。
ぼくとばあばの気ままな散歩。
ぼくのほうが、歩くの早いよ!
いいや、ばあばの押し車の方が早いさ。
ポチに乗ったぼくの方が——
ダチョウに乗ったばあばの方が——
気ままな散歩のはずが、速さを競い合ううちに、舞台は近所を飛び出して、森からジャングル、海にサバンナ……
速度もぐんぐん上昇していって——!?
ちょっとちょっと、ふたりとも、どこまでいっちゃうのー!
ページをめくるごとにスケールが巨大になっていく演出に、「次はなにが!?」とずっとワクワク! そして「まさか!」と大笑い!
歌うような調子でリズミカルにつづられる文章が音読にも小気味良くて、読み聞かせにもおすすめ。
また、にぎやかな色使いで画面いっぱいに描き出された自然や動物は、ユーモアに富み細部に至るまで描きこまれ、何度も読み返したくなる密度。イラストとして眺めているだけでも楽しい一冊です。
「地球のうつくしさや多様性、自然科学への夢やあこがれをかんじてもらいたい」という著者三池悠さんの想いの通り、その情報量も抜群。
見返しでは、本作に登場するさまざまな動物や乗り物がどれくらいの速度なのかを、直感的に比較できるようわかりやすく図解までされていて、これがまた興味をそそるのです。
どっちが早いかとか、どっちが強いかとか、そういう数字の比較って大好きなんです男子はいつまでも……。
物語としてのおどろきや楽しさ、読み聞かせるときの心地よさ、絵の美しさ、そして興味や学びを促す力。
どれもを備えたおすすめの絵本です!
(堀井拓馬 小説家)
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「ぼくと ばあばの きままな さんぽ。とっとこ こつこつ よっこらせ。ぼくのほうが あるくの はやいよ」と、ばあばの庭から始まった2人の競走。だんだんスピードアップして、どんどん前へ進んだら、なんとこんなところまできちゃったよ! 牧場、サバンナ、海底、ジャングル、大都会などなど、テンポよく世界がひろがっていき、最後はあっと驚く展開に。ページをめくるたびにまったく違う風景が広がるダイナミックさと、すみずみまで描きこまれた背景の緻密さが特長で、図鑑の入門書のようにも楽しめます。見返しには、動物や乗り物の速さをじっくり比べられるグラフもついていて、これまた必見です。
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