ここは赤道に近い、南アジアの国。
熱帯雨林のジャングルの中に落ちていた、黒々とした大きなうんち。
そのあとをたどっていくと、野生のゾウの群れに出会います。
アジアゾウは群れで森に暮らし、葉っぱや草をたくさん食べて、長い鼻を使って水を大量に飲みます。だからうんちも大きいのです。
熱帯の国では、雨が降る季節と、かわいた季節が交互に訪れます。
しかし、最近、ジャングルを取り巻く環境が変わってきました。
雨の季節になっても、雨が降らず「干ばつ」が続き、水がなくなってしまうのです。
水がないと草も葉っぱも育ちません。
食べ物をなくし、おなかをすかせたゾウたちは、人間の住むところにまで食べ物を探しにきます。
人の食べるもののにおいと味を覚えたゾウ。においに誘われるようにしてたどり着いたのは、人間のごみ捨て場でした――。
空をにょきにょきと覆う雲。
視界が白くなりそうなどしゃぶりの雨。
豊かな緑と太陽のもと、水浴びをしているゾウたちは、とっても気持ちよさそうで、全身から生きる喜びが伝わってきます。
ごみ捨て場でごみを食べたあとのゾウのうんちは、黒々としていません。
茶色くてカサカサで、ビニール袋がたくさん混ざっています。
そして、草原に倒れている1頭のゾウ。
死因はわかりません。食べてはいけないものを食べたのかもしれないし、内臓が傷ついてしまったのかもしれません。
著者がとらえる、ゾウたちの表情はとても豊かで生き生きとしています。
「わあ、ゾウたちに会えた!」という純粋な喜びや、「無事でよかった」とほっとした気持ちが、写真を通じて生き生きと伝わってくるのです。
その分、追い詰められたゾウたちの苦しそうな環境や、それを見守るしかない悲しみや落胆もひしひしと伝わってきます。
写真は言葉以上に、私たちの目を見て率直に語りかけてきます。
便利さを追求してきた人間の暮らしが、今何を引き起こしているのか。
知らなかったことを知ることの大切さ。そして、みんなで考え、自分たちに何ができるのかを話をするきっかけにもなる写真絵本です。
(絵本ナビ編集部)
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ここは、赤道の近くにある、南アジアの国。森の中で、ぼくはとても大きなうんちをみつけました。うんちをした動物は……。
アジアゾウは森にくらし、長い鼻を使って、葉っぱや草をたくさん食べ、水も大量に飲みます。だから、うんちも大きいのです。
ところが、このゾウの森では、とてもこまったことが起きていました。もう長いこと、雨が一滴も空からふっていないのです。そうすると植物が育たず、葉っぱや草が少なくなり、ゾウは食べものや飲み水にもこまります。はらぺこになったゾウは……。
ゾウや、さまざまな生きものがすむ熱帯雨林のジャングルに今、深刻な異変が起きています。
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