子どもにとっての「はじめて」と言えば、色々あるけれど。自分たち姉弟だけでおばあちゃんの家に行く、というのはかなりの冒険です。しかも、のりものを乗り継いで行くというのです。
「いってきまーす!」
元気に家を出発したのは、しっかり者の姉のゆうちゃんと、のんびり屋の弟こうちゃん。ゆうちゃんはちょっと心配顔、責任重大ですものね。
最初に乗るのはバスです。あわてて乗り込むと、バスの中には沢山のお客さん。おばあちゃんが話しかけてくれます。ちゃんと降りられるのかな。
次に乗るのは、なんとフェリー。乗り場に着けば見上げるほど大きな船。観音開きのしかけをめくれば、目の前に広がる大きな海! フェリーの先頭って気持ちいいよね。ふたりはお弁当を食べます。
順調に見えるふたりの旅ですが、ゆうちゃんがこまり顔。次に乗る電車の駅の場所がわからなくなっちゃったのです。泣き出してしまったゆうちゃんの横で活躍してくれるのが、意外にも……!?
ちょっとしたハプニングはつきものですが、ふたりはちゃんと頑張ります。本当は緊張する道中のはずだけれど、中垣ゆたかさんの描くポップな絵と細部に渡る遊びゴコロたっぷりな画面からは抜群な楽しさが伝わってきます。そして何よりも。やっぱりこの冒険のメインは電車です。先頭車両に立って、大きく開くしかけをめくれば……
「ゴーーゴーーゴーー!!」
予想をはるかに超えた迫力(!?)でトンネルの景色がせまってきて。読んでいる子どもたちだって、きっとドキドキしてるはず。これこれ、やっぱり電車の旅はやめられないですよね。そして、やっとその先に見えてきたのは…「おばーーちゃーーん!!」みんなもこの絵本で一緒に「のりものの旅」を楽しんでみてね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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