「こんな家にすんでたら、ごはんをたべにいくときは、いちどそとにでなくちゃいけない」という文章ではじまる、世界の家々を絵本におさめた本。
アメリカ、スイスやオーストリア、チリ、南アフリカ、ギリシャ、中国、モンゴル、スペイン・・・。世界中にはいろんな家があって、屋根からハシゴで出入りしたり、動物といっしょに住んでいたり、玄関を出たらすぐ海(運河)だったり、洞窟のなかに家があったり。こんなおうちに住んでるんだって、と読んできかせると「ええ!?」と5歳の娘は、目を見張って驚き、興味しんしん。
でもこの本はきっと小学生3、4年生〜くらいに、素晴らしい想像力を提供してくれる本だろうと思います。本文(太字で書かれている)は未就学児〜小学生低学年でもなんとなく理解できるかもしれませんが、本文下に小さな字で「(家の)建築様式・材料・場所・時期・豆知識」が総ルビで書かれているのが詳しいし面白い。興味のある小学生が読み込めば、その土地の地理や歴史まで吸収できるかもしれません。
実はこれ、コンピューターで処理されたイラストレーションなどではなく、美しいペーパークラフトそのものなのです(よーく見ると絵のなかに凹凸や奥行があって、ところどころ影があるのが見えるでしょう)。
著者のジャイルズ・ラロッシュ氏は精緻で印象的なペーパークラフトを数多く制作し、その作品はギャラリーや博物館などで展示されているとのこと。
子どもにとって(大人にも?)この小宇宙のような空気感がぞくぞくする魅力になるでしょう。「こんな家にすんでたら、なにしてあそぼうか?」・・・子どもの冒険心と想像力を刺激する絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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