前作『ええところ』であいちゃんの「ええところ」を見つけてあげたのがともちゃん。
今度はそのともちゃんが主人公となったお話が読めるんです。
ともちゃんは、水泳では一番たくさん泳ぐことができて、徒競走でも一番。体育がとても得意です。それなのに・・・
「なわとびなんか、誰がはじめたんやろ。『こどもはなわとび禁止!』とかいう法律ができたらええのに」
なわとびだけは苦手なんです。「こうさとび」も「にじゅうとび」も出来ないっていうのを、友だちのあいちゃんにもいえない。でもどうして?
ともちゃんが素直に「なわとびが出来ない」といえないのは、「へなちょこ」と思われたくないから。
「へなちょこ」と思われたくないからうそをついて、「へなちょこ」と思われるのが嫌でえらそうなことをいって。
・・・でも、その事がともちゃんをどんどん追いこんで涙が止まらなくなっちゃった!
そんな時、声をかけてくれたのはやっぱりあいちゃん。「なあ ともちゃん、一緒に練習しよう」
誰だって苦手なことや出来ないことはあるよね。
増してや子どもたちにとっては、毎日が新しいことだらけ。
頼りなさげでも、一生懸命に弱い自分と向き合っている。その姿が読者の心を打ちます。
あいちゃんのいった、「ほんまの『へなちょこ』は、えらそうにいうだけで、がんばらんのやで」という言葉。
子どもには負けていられません。「へなちょこ」な大人にならないために、私たちもがんばらなくては!
いつだって子どもたちの味方のくすのきさんだけど、今回は大人の私たちにも檄を飛ばしてくれているのかもしれません。
それにしても、今回も面白いのがふるしょうようこさんの絵。なわとびをモチーフにして、揺れ動いたり葛藤するともちゃんの心情を個性豊かに描き出しています。
前作『ええところ』と今作『へなちょこ』。2冊並べると、お花に囲まれたあいちゃんとともちゃん、揃って幸せそうな顔をしてこちらを見つめてくれるのがたまりません。あいちゃん&ともちゃん大好き。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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