小学校の卒業式当日をむかえたおねえちゃんと、1年生のわたし。
いつも以上に「おねえさん」って感じがして、まぶしいおねえちゃんに、「おめでとう」がまだ言えないわたし。
つい強がって、おねえちゃんにこんなことを言ってしまいます。
「そつぎょうしきのまえには、おしっこすませておくんやで」とか
「おおきいこえで、うたうんやで」とか。
おねえちゃんには「みさとちゃん、2ねんせいになったら、とちゅうでみちくさして、ちこくしたらあかんよ」
と言われます。
いつもは姉妹いっしょに通っていた、小学校までの道。
おねえちゃんが卒業してしまったら、ひとりで通うことになるのでしょうか。
みさとは、それを受け入れる気持ちになかなかなれないのかもしれません。
とうとうおねえちゃんに「おめでとう」を言えないまま卒業式がはじまり、おねえちゃんがピアノの伴奏をする場面になりました。
でも毎晩いっしょうけんめい練習してじゅんびしていたはずなのに、おねえちゃんのひくピアノは途中で止まってしまいます。
みさとは、自分のせいではないかと、心配で涙が出てきてしまいますが……。
おねえちゃんにたよっていた気持ちにさよならし、春から2年生。
1年生の黄色いぼうしにもさようなら。
小学1年生の学校行事と生活を描く「いちねんせいの1年間」シリーズ最終巻。
いよいよ進学してひとつ大きくなる誇らしさと、6年生を見送るさみしさが描かれます。
ドキドキする春の成長を、やさしい色彩で繊細に描いた絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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