ある日曜日の朝、顔を洗ったこぶたちゃんが、使ったタオルをぽいっと洗濯かごに入れようとしたら…。
かごは、よごれものでいっぱい。
「たいへんだなあ」と思ったこぶたちゃんは、おかあさんにたずねます。
「まいにち おせんたく、たいへんじゃ ない? いやじゃ ない?」
するとおかあさんはにっこり笑っていいます。「し あ わ せ」
「だって、みんなが げんきに あせを ながした ようふくでしょ。あしたも げんきな あせを ながせるように きれいに するのは、とってもしあわせよ!」
そうはいっても、やっぱりたいへんそうだと思ったこぶたちゃんは、おかあさんのかわりに洗濯物をたたんでおこうと思って、たたみはじめます。
たたんでも、たたんでも、洗濯物はまだまだあります。
そこへ、遊んでどろだらけになった弟や妹たちとおとうさんが「ただいまー」と帰ってきて…!?
本書は、第7回「いつもありがとう」作文コンクールの優秀賞『せんたくもの』(市川卯里子さん作)をもとに、脚色を加えて絵本として構成したもの。
いもとようこさんのあたたかいタッチの絵から「しあわせ」がただよってくる絵本になっています。
にこにこ元気に暮らす、こぶたちゃん一家には、たくさんの小さい弟と妹がいて、きょうだいはこぶたちゃんを入れて全部で9匹!
これだけいれば、たしかに洗濯かごが空っぽになるヒマはなさそう。
こぶたちゃんはお手伝いしようとするけれど、途中で「ごはんですよー」と呼ばれたり、弟や妹たちと一緒に眠ってしまったり……。
けれども、こぶたちゃんはちゃんと気づいています。
おかあさんのたいへんさ。そして、おかあさんがせっせと用意してくれる「しあわせ」にも。
おひさまに干した、洗濯物のにおい。
きちんとたたまれた服に手をとおすと、ふわ〜、と、ただよってくる、「しあわせ」のにおい。
小さい頃はわからなかったことが、だんだん子どもたちにもわかるようになってきます。
たいへんさに気づけば、そのぶんだけ、「しあわせ」にも気づいていくのかもしれません。
たくさんの「しあわせ」に気づいたこぶたちゃんの、しあわせそうな姿が描かれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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