空は無限のキャンバス
一瞬たりとも同じ絵をかくことのない空を見あげながら、心と重なりあった瞬間をきりとった、空との交信日記。
雲に のんきに つつまれて どんどん まぎれる はぐれる さすらう だんだん かさなる いっぱいの 雲
私たちは
空の底に棲んでいて
泣いたり笑ったり
考えたりかぜをひいたりしている
空のあちこちにも
風は吹いていて
雲が毎日空の地図を
かきかえている
雲の世界は
物語に充ちていて
その日の心もようと重なりながら
額ぶちのない展覧会
私は目を細めては
空のやぶれめなんか
さがしている――いせひでこ
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