南米・エクアドルからおよそ900キロの西の海に浮かぶ、ガラパゴス諸島。
今から200年ほど前、この島に上陸し植物や動物達を調査した自然科学者チャールズ・ダーウィンは、確信します。
生物種は時とともに変化する。あるいは進化するものである、と。
地球上の他のどの場所でも見ることのできない生き物や植物たちが存在するガラパゴス。
今だかつて誰も見たことのない悠久の大自然の謎を、壮大に、美しくひも解いてくれる物語です。
始まりは、600万年前。
静けさに満ちたおだやかな海の下で起こる、ひとつの変化。
成長した火山が大噴火を起こし、初めて水面からその姿を現します。
新しい島の誕生です。
やがて波間を漂いこの島に根をおろした種子たちがつくるマングローブの森。
羽根を休めるために降り立った海鳥は、島に棲みつき始めます。
周囲の古くからある島々から泳いでやってきたウミイグアナは、海と陸を自由に行き来しながら島でのくらしになじんでいきます。
海から生まれたこの新しい島で、彼らは、一体どんな進化をたどっていくのでしょうか。
その誕生に始まり幼年期(500万年前)、成年期(300万年前)、老年期(100万年前)、エピローグへと展開していく島の物語。
目を見張るのは、こうしてやってきた生き物達が島の環境の変化を受け止めながら順応していく姿です。
著者であるジェイソン・チンは「あとがき」でこう語ります。
「この物語は科学に基づきながらも、私の想像を通じて作られました。
それでも、この驚くべきガラパゴス諸島が私をワクワクさせ、刺激させてくれたように、読者にもそれを同じように感じてもらえることを願ってやみません。」
その言葉通り著者はコマ割りをつかった繊細な描写と詩的で叙情的な語りで、600万年の時空を超えたガラパゴスへと私たちを連れ出してくれます。
ダイナミックで美しい大自然のドラマに、まるで一本のドキュメンタリー映画を観ているような感覚に包まれるのです。
まるで定めらた運命のように、やがて終焉を迎える島。
生き物達は、どうなっていくのでしょう。
彼らの行く末は・・・100種類以上の生物固有種が生息するガラパゴス諸島の今が伝えています。
ダーウィン「進化論」誕生のヒントとなったガラパゴス。
その未知なる大自然への扉を、ぜひこの一冊から開いてみてください。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
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