表紙の女の子は、おやすみの前の暗闇を、なんだかこわがっているみたい。
ページをめくると、明るい緑の画面いっぱいに、やさしそうなおおおとこが描かれます。
おおおとこは、小さなサボテンに、小さな赤いじょうろで水をあげています。
「ねる まえに こわく なったら、おともだちを よぼう。」
たとえば……ねむらない、おおおとこ。
おまつりのこびとたち。
みどりのぐるぐるリュウに、くすぐり羽根!
言葉だけじゃきっとわからない。
絵本を見たら、陽気でふしぎな「おともだち」がどんどん出てくることに、わくわくして楽しくなってしまうでしょう。
いやなことは、みどりのぐるぐるリュウにまきとってどこかにポイ!してもらい、くすぐり羽根にくすぐり飛ばしてもらえたら?
うーん、安らかであたたかい気持ちで眠れそう。
しあわせのねこ、ひかりのとり、よるのたき……。
その豊かなイマジネーションの世界に心がふるえます。
独特の世界観や色づかいのなかに、たしかに「おともだち」がいることを感じられるような気がします。
オーストリアの児童文学作家、ハインツ・ヤーニッシュと、ドイツのイラストレーター、バーバラ・ユンクのコンビがつくり出す、ふしぎな「おともだち」に魅せられる絵本。
だれかが見守ってくれている……。そんなしあわせな夜の記憶の1ページをつくってくれそうな絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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