海から上がってきた少女の不思議な物語
無人島で発見された少女は、一言も話せず、記憶もなかった。村で暮らすうちに少しずつ回復していくのだが……。シリー沖で豪華客船ルシタニア号が撃沈されたという史実をベースにした戦争の悲劇と感動の秘話。
本作品は、第一次世界大戦中、豪華客船ルシタニア号が撃沈されたという史実の話をベースに創作されたフィクションです。
シリー諸島の無人島で奇跡的に発見された少女ルーシー。彼女は、ひと言も話すことができなかった。献身的な家族に支えられて、少しずつ回復していくのだが、ルーシーがどこから来たのか、どうやって来たのか、何もわからない。そんな中、「ルーシーは、ドイツ人に違いない」という噂が流れる。ドイツと戦争をしているさなかのイギリスにおいて、それは、大変なことだった。それまでは、やさしく見守っていた近所の人たちが、うって変わって、ルーシーとその家族を攻撃してきたのだ。ルーシーはおびえ、家族は、孤立していく。どうしても、ルーシーの隠された真実を解明したいと願うのだが……。
戦争という悲劇を描くと同時に、記憶を失った少女の再生の物語でもあります。それぞれの人生が、絡み合って一本の糸になっていく物語は、まさにストーリーテラーの巨匠としてのモーパーゴの真骨頂です。
2014年コスタ賞児童書部門のショートリストに入っています。
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