ブルブルさんはいつも、よるになったら、さっさと寝ます。
「よるは おばけの じかんだもの。 うちに きたら たいへん」ですって!
たいへんなこわがりなんです。
ところが、ある夜、そんなブルブルさんの前に、おばけが出たから大さわぎです。
キャ―――!
おばけは、ブルブルさんのひめいを聞くと、にっこり。
「オホホホホ。うわさどおりの すてきな ひめい」
おばけは、ブルブルさんに育ててほしいと、
バスケットに入った小さなおばけのあかちゃんを託して、消えてしまいました。
こわがりのブルブルさんの悲鳴は、あかちゃんにとって、栄養満点のごはんだったのです。
青い体に、ぎょろんとした黄色い目、ぺローンと出る赤い舌。
小さいけれど、なかなか怖い、おばけのあかちゃん。
それから ブルブルさんはバスケットの中をのぞいては、
「キャアー」と、悲鳴をあげる日々です。
おばけのあかちゃんは 、ブルブルさんの悲鳴を食べてすくすくと成長していきます。
けれども、「しろちゃん」と名付けて毎日一緒に過ごすうち、だんだんブルブルさんは、しろちゃんがかわいく思えてきて……?
あさくらまやさんの絵本単行本デビュー作。
リトグラフ刷りのような雰囲気の洗練された色面は、独自のステンシルの技法を使って描かれているそう。
ブルブルさんもおばけも、表情豊かで愛嬌たっぷり。
キャアーという悲鳴が、だんだんまあるく丸まっていって、しろちゃんのごはんになるまでの絵もみどころです!
毎日、体をぶるぶるふるわせて悲鳴をあげ続けるブルブルさんがおかしいやら気の毒やら。
悲鳴のごはんをかかえるようにして、ぱくり、と食べるしろちゃんの姿の愛らしさといったら!
ブルブルさんがどうなっちゃうのか、ドキドキしながらページをめくっていくと、
登場シーンではドキッと怖かったはずなのに、みんないつのまにか、しろちゃんのとりこになってしまっているはず。
そして、ブルブルさんの恐怖の顔、立派な悲鳴が見たくなって、ついつい何度も本を開いてしまいます。
キャ―――!
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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おばけの赤ちゃんがやってきた!
町いちばんのこわがり、ブルブルさん。
こわいときにものすごい悲鳴をあげることで有名です。
そんなブルブルさんのもとに、おばけのママがやってきました。
町の噂を聞きつけて、赤ちゃんを預かってほしいと頼んだのです。
じつはおばけの赤ちゃんは、人間の悲鳴を食べて大きくなるのでした。
ブルブルさんがいやがってもどこかでママが見張っています。
もっと怖い思いをすることになるでしょう!
しかたなく預かることにしたブルブルさん。
それからというもの、ブルブルさんはおばけの赤ちゃんを見るたびにとびきりの悲鳴をあげて、
赤ちゃんはその悲鳴を食べてすくすくと育っていきます。
ある日のこと、赤ちゃんはバスケットのなかから転がり落ちてしまいました。
まだ自分ではよく動けません。
ブルブルさん、どうしましょう…?
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