「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。……」名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して印象深く描いた表題作など、著者の最も得意とする女性の告白体小説「燈籠」「千代女」。著者の文学観、時代への洞察がうかがわれる随想的作品「鴎」「善蔵を思う」「風の便り」。他に本格的ロマンの「水仙」「日の出前」など、中期の作品から秀作14編を収録。
絵本ナビのラインアップとしては、いささか異質感のある作品集ではあります。
でも、小学校高学年から、次第に大人の世界を垣間見るような文学少年少女が生まれ始めるのでしょうか。
太宰治の私生活から産み出されたような作品集です。
太宰のニヒルさ厭世感、小心者でナイーブなくせに、精いっぱい背伸びをしたような作品は、少々毒気があります。
ただ、「はしれメロス」のような作品を書いた作家の一面として、味わうことに意義もあるのかと思いました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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