きっかけは、フロイドくんの凧が木の上にひっかかってとれなくなった事から。
凧をひっぱってもぶらさがっても全然とれないので、フロイドくんは片方の靴を投げてみたのです。すると、その靴も木にひっかかり、それをとろうともう片方の靴を投げるとその靴までひっかかり、さらにその靴をとるために今度は猫を放り投げて・・・?
何かをとるために、何かを投げるとそれがひっかかる。
そのひかかった何かをとるために、フロイドくんは性懲りもなく木の上にいろんなものを投げるのです。もうどう見てもやけくそなのか、それともこの状況すら楽しんでしまっているのか、フロイドくんは、牛乳屋さんだってお隣の家だって灯台だって、助けに来た消防車だってかたっぱしから投げてしまいます。そして、それらは見事なまでにぜ〜んぶ木の上にひっかかっちゃうのです。
こんなお話見たこと、聞いたことない!
問題を解決するためにちょっとだけ横着してやってしまったことが、かえってその問題をどんどん大きくして、最終的にはもっと取り返しがつかなくなってしまったこんな経験・・・みなさんにもありますよね?
ユーモアたっぷりの絵本をうみだしたのは、『まいごのペンギン』や『心をビンにとじこめて』など素敵なイラストにウィットの利いたストーリーが人気のNY在住の作家オリヴァー・ジェファーズさん。彼の創作のヒントは、メモに書いた落書きから始まるのだそう。絵本作家でもあり、画家、広告やアートデザインも手がけるマルチな顔をもつ作者の視点は、時に大人が読んでもハッとさせられる作品ばかりです。ページをめくるたびに子どもたちの驚きと笑い声が聞こえてきそうなこのハイセンスなナンセンス絵本は、読み聞かせにぴったり。
さて、結局、ひっかかった赤い凧はとれたのか?木の上にひっかかったものや人や建物はその後どうなったのか・・・それはじっくりと絵本を読んで笑ってくださいね!
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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