夜が明けて、川の一日が始まります。
ウサギやシカ、クマやイタチがやってきます。カワセミも飛んできます。
川の中にいるのはヤマメのピンク。カゲロウをつかまえています。
そこに、男の子とお父さんもやってきて、川はだんだんにぎやかになってきました。
ヤマメを鮮やかに釣りあげたお父さんにならって、ぼくも挑戦します。
なかなか上手くいかないけれど、教わりながら糸を流します。
すると「きたーっ、つれたっ!」「あっ」。
一度つかまったヤマメのピンクは川へ戻っていき・・・そのピンクを目がけてやってきたカワセミに!?
ヤマメを愛する絵本作家、村上康成さんの絵本デビュー作『ピンク、ぺっこん』から30年。その間に『ピンクとスノーじいさん』『ピンク!パール』が発表され、ピンクのお話は3部作となりました。一匹のヤマメの視点から見えてくるのは、緊張感あふれるドラマチックな自然の日常です。その後続いて発表された『ピンクのいる山』では、人間も自然と関わりながら生きているという姿を見せてくれました。
そして集大成ともいえる作品がこの『ピンクがとんだ日』。
ここに登場するピンクもやはりある一匹のヤマメです。集まってきた動物や人間、虫、そしてカワセミ。それぞれが、それぞれの命の営みを行っていきます。そこには物語があります。でも、大きな自然の中でみると、それはすべてつながっている一つの命でもあります。今作では、そんな自然の摂理を改めて見せてくれるのです。
今日、ピンクは空に飛んでいきました。
その姿は意外なほど清々しく、その当たり前で美しい自然の景色を見ていると、静かな感動が押し寄せてくるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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